ナースコールもいろいろあるんです
こんばんは。天使ママのお部屋へようこそ。
二日間夜勤ネタでお届けしてまいりました。
怪奇現象もこわいけど、やっぱり一番こわいのは生きている人間。
トイレに行こうとして転倒、いつの間にやら病室からの失踪。
こうした恐ろしい事件はなぜか夜勤で起こることが多い。
夜は看護師の数も少なく、人の目が届きにくくなる。
反対に、転倒や失踪の可能性がある患者さんは夜中のほうが活発になるいわゆる昼夜逆転の状態になっていることが多い。
そのために、夜勤ではあり得ないことも起きたりします。
そういったことを少しでも防ぐためにこちらもいろいろと工夫をするわけですが、そのためにはいろんな道具を使ったりします。
ナースコール。これは患者さんが私たち看護師を呼ぶためのボタンですが、呼べない人のために進化したナースコールがあるのです。
単なるボタンだけではない、進化形のナースコールを3つご紹介しましょう。
本日のメニュー
マッタくん
彼はマットの形をしたナースコール。
そのマットを踏んだら最後、センサーが反応し私たちに教えてくれるのです。
ベッドの上では自由にしてもらっていいけれど、歩くとなったら一人で歩いちゃ困るよって患者さんの足元に設置します。靴くらいの重みであれば反応しないのでマットの上にそっと靴を置いておきます。
そうすれば、必然的に患者さんはそこに足を置き、靴を履こうとしてナースコールが鳴りあえなく御用となるわけです。
ウーゴくん
彼はピンに紐が付いた形のナースコール。このピンの部分を本体に差し込み紐の先についているクリップで患者さんの襟など衣服にとめます。
患者さんが動いて紐が引っ張られ、本体からピンが抜けたらセンサーが反応してナースコールが鳴ります。
ベッドから起き上がったり動くのも危ない患者さんにはこれ。でも動きが活発だと延々に一晩中ずーっとナースコール鳴りっぱなしのナースコール地獄となります。
オキタくん
そろそろお分かりと思いますが、そうです。起き上がったら鳴るってことなんです。マッタくんの逆で患者さんの背中の下に敷いて重みがなくなるとセンサーが反応するというもの。
起き上がっちゃいけない患者さんに設置します。ウーゴ君より寝心地が悪くなるのであまり使いませんが。
ナースコールにもいろいろあるんですよ。すごいでしょう。
患者さんの状況やどこまで動いてもいいのかを判断して彼らのどれを使うのがいいか判断して設置するんです。
が、しかし!
患者さんもだんだんこれを踏んだら看護師が飛んでくるなとか気づいちゃったりするんですよね。そうするとうまくまたいでよけられたりして逆に危ないわとか。
そうすると今度は設置する場所を変えてみたり、使うものを変えてみたり。手を変え品を変え、知能戦を繰り広げたりもするんです(笑)
患者さんの安全を守ることに特化したらベッドに拘束してしまうのが一番手っ取り早いのですが、それでは人権が守れない。
人権か、安全か。それは昔からずーっと議論されてきた看護倫理の定番中の定番の問題です。
できることならベッドに拘束することはしたくない。でも転んで頭打ったら死ぬかもしれない。人権も安全も両方守りたい。そういう気持ちからこうしたナースコールを活用しています。
これも広い意味では患者さんの拘束グッズの一つなんですけどね。監視して行動を制限しているわけですから。でもベッドに拘束するよりはずっとマシなはず。
今宵も看護師はマッタくんが鳴った!と走り回っていることでしょう。
お疲れ様です。
平和な夜でありますように。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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