天使ママのお部屋

体外受精、双子妊娠、22週流産、癒着胎盤を乗り越えてベビ待ち中のナースのブログ

病気は治るまで入院してた方が安心!それってほんと?

こんばんは。天使ママのお部屋へようこそ。

もし自分が入院するってなったら一刻も早く退院したい!と思いますよね。

でも自分の家族だったらどうですか?

心配だから良くなるまで入院してた方がいいよってなりませんか?

家族は心配だからそう思うかもしれません。

でもすっかりよくなるまで入院していた方が家族は安心するかもしれませんが、本人はどうでしょうね。

高齢になればなるほど、家族は入院してしっかり治してきてって思うし、でも入院が与えるストレスも大きくなるんですよ。

そうなんです。入院のストレスって実はすごーく高齢者に与える影響は大きいんです。

だからね、結論から言っちゃうと実は入院って短ければ短いほどいいんですよ。

 

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入院していればほんとに安心?

私が病院で働いていた時、とにかくよく聞いた言葉が「入院してた方が安心だから」「ちゃんとよくなってから帰ってきてもらわないと困るよ」などといったご家族からの言葉です。

確かにね、病院にいれば具合が悪くなった時、すぐに対処してくれる看護師や医師が常にそばにいますからね、何かあったときには安心しますよね。

それに規則正しい生活だしバランスの良い食事も提供されます。トイレに行きたい時も、すぐに手を貸してくれる看護師がいます。お薬なんかも毎回看護師が運びますから飲み忘れも防げます。至れり尽くせりで入院してた方がいいでしょうって家族は思います。

 

ですが、入院生活はストレスとの闘いでもあります。

大部屋での共同生活、行動制限、検査や治療の苦痛などなど。何より、高齢者にとっては自宅ではない場所にいるという環境の変化だけで大きなストレスとなるのです。

 

入院ストレスが高齢者に与える影響

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高齢者じゃなくても入院にはストレスを感じるものです。ですが、高齢者にとってそのストレスはただ事ではありません。

 

環境の変化に適応するために私たちは五感をフルに活用し、トイレはここだな、洗面台はここだな、と記憶力を使い、これはこういう使い方をするものかな?と想像力を働かせ、柔軟に思考しなくてはなりません。

しかし、当然ですが高齢者になればなるほど脳の機能は衰え、記憶力も想像力も思考力もなくなっていきます。

変化に追いつけない、対応できなくなるとさてどうなるでしょう。

認知症やせん妄状態になるんですね。

 

せん妄ってどんな状態?

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せん妄とは頭が混乱して一時的に意識が混濁したり、今いる場所が分からなくなったりすることです。幻覚が見えることもあり、興奮状態になって時に暴力的になることもあります。

発症後症状が現れるのが比較的ゆっくりな認知症と違い、せん妄はある日突然人が変わったように症状が現れるのが特徴なので、発症時期を特定することができます。

日内変動があり、昼間は普通なのに夜になると豹変するということもあります。

認知症は不可逆的ですが、せん妄は一時的なものでせん妄の原因を取り除くことが出来れば治ります。

しかし、せん妄をきっかけに認知症に移行することもあります。そうすると、自宅に戻っても症状が改善することはあっても完全に元通りになることは難しい場合もあります。

しばらく入院して家に帰ってきたらトイレの場所も分からなくなっていたなんてことにもなりかねません。

 

介護予防のためには早期離床、短期入院

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入院している家族のところにお見舞いに行ったら、いろいろやってあげたくなっちゃいますよね。

「いいよやるから、寝てていいよ。」ってね。靴を履かせてあげたり、着替えを手伝ってあげたり、食事のお膳を片付けてあげたり。

でもそうやってなんでもかんでも「やってあげる」のは本人のためになりません。

もちろん具合が悪くて少し動くだけでも息切れしちゃうとか、痛みが強いとかそういう時はやってあげなくちゃいけませんがある程度症状が改善したなら徐々に自分のことは自分でやるようにしなくてはなりません。

そうしないといつのまにかやってもらうことが当然になって依存的になってしまうこともあります。人って楽な方へ楽な方へと流されていくものなんですよねぇ。そうなったらあっという間に要介護状態になってしまいます。

高齢者にとって大切なことは出来るだけ長く健康寿命を延ばすことです。寿命はどんどん延び、長寿大国と言われるようになった我が国ですが、ただ長寿であれば幸せということではありません。より自分らしく自由に生きられるかは健康寿命にかかっています。介護予防はその健康寿命を延ばすために最も重要なことです。

そのために必要なのが早期離床と早期退院です。

 

早期離床で回復のゴールは決まる

人は仰向けで寝たままでいるより頭を起こして背もたれに持たれた状態で起こすだけでも呼吸の機能をあげることが出来ますし、筋力も使います。

そこからさらに背もたれに寄りかからずに座る姿勢をとったり、足を下におろすだけでもまた活動量をあげたり呼吸機能を改善することができます。

 

そんなちょっとのことだってやるのとやらないのでは大違いなんです。早期離床はその後の回復のゴールを決める大きな要因となります。早くベッドから起きられるようになればなるほど元通りに近い所まで回復できますし、遅ければそれだけ回復できる部分も少なくなるのです。

 

早期退院で認知力の低下と体力低下を防ごう

変化への対応が遅いのであれば、入院期間が長引けば長引くほど環境の変化に慣れてきていいんじゃないかって思われるかもしれませんが、入院期間が長引くほどストレスはたまっていき、生活の刺激もなくなります。

入院生活はよく言えば規則正しいですが、悪く言えば毎日が同じことの繰り返しでもあるわけです。毎日決まった時間に検温があって、同じ時間にご飯を食べて、同じ時間に寝る。たまに検査があったり、お風呂に入ったりすることもあるかもしれませんが精々、それくらいです。私も入院中は1日のメインイベントはお風呂でした。

そんな刺激の少ない生活が長く続いたらどうでしょうか。昨日と変わらない今日が来て今日と変わらない明日が来るだけの毎日。曜日感覚も薄れていって、昨日が何日で今日が何日だったかもわからなくなります。

こうした刺激の少ない同じ毎日の繰り返しが認知症の引き金になったりもします。

 

運動不足になりやすいのも入院生活の特徴です。自分の生活の場はベッドだけ。歩くのもトイレの時くらい。家に居ればトイレ以外歩かないなんてことはまずないでしょう。ご飯の準備をしたり、片づけをしたり、何かしら行動するでしょう。でも入院しているとやりたくても出来ません。そしてどんどん体力が低下していきます。

高齢者は一度失った体力や筋力を再び身につけるのは並大抵のことではできません。失うのは簡単でも再度身につけるのは大変な努力が必要になるのです。

 

このまま退院して本当に大丈夫?

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入院前よりなんだか認知症のような状態になっているけれど、主治医からは家に帰れば治ることがほとんどですよとか早く退院した方がいいと言われたけれど、ほんとにこのまま退院して大丈夫なのかって不安になりますよね。

 退院はまだ先かしらなんて思っていたら、主治医から「じゃぁ今週か来週いつがいいですか?」なんてこちらの準備もまだしていないのに退院時期を決めなくてはならなくなったりということもよくあります。

そんな風に慌てないためにも、入院中から退院後のことを考えて先手を打つことが大切です。

では、どんな手を打つことが出来るでしょう。

 

病院で相談する

病院には退院支援窓口という相談窓口が設置されている事が多いです。こういった窓口に相談すると退院支援看護師やソーシャルワーカーという職種の人が相談に乗ってくれます。介護保険の申請の仕方や介護用具の手配など退院後の生活に備えてどんな準備が必要かを考えアドバイスしてくれます。

 

住んでいる地域で相談する

地域には在宅介護相談窓口地域包括支援センターなど様々な窓口があり、そこでも同様に入院中であっても相談に乗ってくれます。相談窓口は市役所だけではなく、たくさんあるのでご自宅の近くにきっと最寄りの相談窓口があると思います。

早いうちから退院を見据えて行動しておけば、早期退院を目指すことが出来ますし、主治医から退院の相談があっても慌てることなくご家族を自宅に迎えることが出来ますよ。もしも、ご自宅での介護が難しい状況であるならそれを主治医やソーシャルワーカーに伝えましょう。転院先や施設入所などの手段も検討し、紹介してくれます。

 

御家族だけで抱え込まないで、福祉サービスの力も借りて無理なくご家族を支えていきましょう。

 

まとめ

病気になって入院してしまうことは仕方がないことです。しかし、その後の生活がどうなるかは入院生活をどう送っていたかによって相当変わってきます。

何かあったら困るからと1日でも長く入院を希望する人がいますが、病院に居ても家に居ても何かあるときはあるし、万が一の可能性を心配するより、入院による弊害を心配した方がよっぽど現実的です。

しかし、だからといって何も準備をせずに退院させるのもよくありません。ですから早いうちから介護の相談窓口で相談することが大切です。

介護する方もされる方も負担が少なく、自宅で過ごせる方法を考えていきましょう。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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