小さな巨人とバルンカテーテルの思い出
こんばんは。天使ママのお部屋へようこそ。
昨日まで入院中の看護師との思い出話でした。
今日は先生にしようかなと思います。
まずは、絶対欠かせない私の主治医について。
私の主治医は女医さんです。医師としてとても素晴らしい方だなと思いましたし、この人が主治医で本当によかったと思いました。
私が働いていた病棟の先生たちとはまるで違うと思うのは患者として接しているか看護師として接しているかの違いも大きいのでしょうけれど、それにしてもやっぱりちがうなぁって。いや、一緒に働いてた先生たちも面白いんですけど。素晴らしいというより面白いんです。その話もまた追々書いていきたいと思います。
今日はひとまず、私が患者として出会った先生について。
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私の主治医は小さな巨人
私は身長148センチとかなーり小柄ではありますが、私の主治医もおそらく同じくらいだと思われます。立ってても目線同じくらいですから。体重もしかして40キロ切ってるんじゃないかって思うくらい痩せてます。思わず先生、大丈夫?食べてる?って聞きたくなるくらい。
そんな華奢で小柄ですが産婦人科医長です。一番偉い先生です。でもそんな偉そうな感じはまったくありません。声も割と小さくて診察の時も注意して聞いてないと聞き取れないくらい。
でもここぞというときはすごいんです。
私が診察台の上でもう今にも生まれてしまいそうな状況だと分かったらすかさず看護師達に指示を飛ばしまくる!私に状況を説明しつつ指示出しまくる!
ちゃんと患者に今起こっていることの説明を怠らない。その冷静な対処は患者の不安を和らげてくれます。いつものんびりな先生がここまでてきぱきやってるの見ると相当にやばいんだなとは思いますが・・・。
迅速かつ冷静で丁寧なその対応に私は救われたと思います。そして、先生の判断を信じようって思えた瞬間でした。
苦痛でたまらないバルンカテーテルの思い出
バルンカテーテルというものをご存知でしょうか。
手術を経験された方はご存知かもしれませんがお小水を出すための管です。身動きが取れない人のために膀胱に管を挿入します。ただ管を入れただけでは腹圧で抜けてきてしまうので管を入れて尿の流出が確認できたら注射器で生理食塩水を管の接続部から入れます。そうすると管の先端から少し下の部分に水風船が出来上がって膀胱から管が抜けないようになります。水風船がついているのでバルンカテーテルと言います。日本語的には尿道留置カテーテルとも言いますがいかにもすぎますよね。(笑)
今まで何十回何百回と入れてきたであろう、この管をまさか、自分が入れられることになるとは・・・。しかもこれがまた何とも言えない違和感で。
よく患者さんが「抜いてくれ」と懇願してきた意味がよーくわかりました。
寝返り一つも管が引っ張られないように慎重になります。
しかし、その管ともいよいよお別れする日がやってまいりました。
トイレまで歩けるようになったからです。
この管をようやく抜いて良い許可が降りたのは良かったのですが、その日の夜勤担当が新人の男の子。
この管って抜いた後時々自分で排尿が出来なくなる人がいるんです。管を入れている間は膀胱が膨らまないから尿意を感じる神経が鈍くなることが稀に起きるので抜くのは大抵朝一です。朝抜いて夕方まで出なかったら先生に報告できるように。万が一夕方抜いて夜中に膀胱ぱんぱんなのにおしっこが出せない!なんてトラブルにならないように。
夜の検温の時
私「この管抜いて良いって先生が言ってました。」
看「そうですか。じゃぁ・・・どうしよう、明日の朝誰かにお願いしましょうか。」
さすがにね、私もね、まだそこまでの覚悟っていうの、若い男子に下の世話をしてもらう勇気っていうの、そういうの持ち合わせてなくてね。
私「そうですね、どなたかにお願いしてもらえると・・・」
あははー・・・みたいなお互い乾いた笑顔でその会話を終えました。
患者ファーストな対応
翌朝、待てど暮らせど、来ない。新人ナースマンも代わりの女性看護師も。
やっと来たのは朝ごはんの直前。おそらく、忙しくて検温もままならない状況なんでしょうね。
看「すみません、管抜くの日勤に頼んでもいいですか?」
そう来ると思ったー。もういいよ。私の若さで尿閉(おしっこが出なくなること)とかならないっしょ。と諦めました。
私「全然いいですよー。」
検温が終わってそのあとすぐ、主治医の先生が部屋に来ました。その時間、朝の8時前。何時に出勤してるんでしょうか、この方は。
先生「どうですか?調子は?」
私「変わりないです。」
先生「あれ?まだ管抜いてないんですね。」
私「今日の担当が男の子で。日勤に頼むって言ってました。」
先生「そうですか・・・」
それから一通り診察して部屋を出たと思ったらすぐ引き返してきた小さな巨人。
先生「あのー、私でよかったら抜きましょうか、この管。」
私「え?抜いてくれるんですか?」
正直ね、この管の違和感が強くて一刻も早くおさらばしたいものだったし、せっかく先生はわざわざ戻ってきてくれたんだし、ここはお言葉に甘えさせてもらってって感じです。
お願いすると必要なものを取ってまたすぐにやってきました。
まずは水風船の水を抜きます。注射器を接続部につけて引けば水は注射器のほうへと流れ込んできます。だいたい挿入時は10mlの水を入れますが抜くときには少し減っていて8~9mlくらいになっています。
先生「あれ?8しか引けないな。」
私「たぶんそんなもんですよ。時間が経つうちに少し減るんですよ。」
先生「え?そうなんですか。あら、ほんとだ。抜けた。」
私「ありがとうございました。」
先生「ふだん入れるばっかりで抜くのはほとんどやったことないから、さすが看護師さん。」
私「私もまさか先生に抜いてもらえるなんて思いませんでした。」
そうです、先生はこのバルンカテーテルを入れることはあっても抜くのは看護師に依頼することがほとんど。「抜いといてー」の一言で終わり。
でも主治医の小さな巨人はこの苦痛を伴う管を一刻も早く抜いてあげようという気持ちから慣れないことをしてくれたわけです。
病院の内情を知るものだからこそこの行動が神だと思えてならなかったんです。
患者さんの気持ちに寄り添う医療
医師といわれる人たちによくありがちなのが病気しか見ていないってこと。その人の全体像を捉えた治療をしなくてはいけないのに病気の部分しかみてないってことはよくあります。
だからこそ、看護師がそこを埋めるべく、患者さんのことをよく観察して患者さんの気持ちを察して医師に提案したり患者さんに説明したりするわけですがこの先生はちゃんと患者の気持ちまで考えてくれていました。それは産婦人科というとても繊細な科であるからこそと言うのもあると思います。産婦人科は元気な赤ちゃんの出産の手助けばかりではないですからね。私のような流産というとても悲しい事例もあるわけですし、精神面のケアというのはとても重要です。
何科であってもそうですが、産婦人科はとくに患者の気持ちに寄り添ったり思いをくみ取って医療を施すということが重要なのだろうと。そしてそれを今までの経験から磨いてこられているんだなこの人は、と感じましたね。
改めて、私はこの先生に巡り合えたことに感謝しました。
たまたま、一番最初にこの病院に緊急入院できたとき、当直だったのがこの先生だったからそのまま主治医になってくださいました。一日違っていたら違う先生だったわけですし人の縁と言うのは不思議なものですね。
それでは今日はこの辺で。
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この辺なかなか壮絶です。生きるか死ぬか的な。
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