道端で急に人が倒れた場面にぶち当たった思い出心臓マッサージ編
こんばんは。天使ママのお部屋へようこそ。
今日は看護師ネタでいこうと思います。
今季のドラマで最近お気に入りなのが「クライシス」です。
フジテレビで火曜日にやっている小栗旬さん、西島秀俊さんの刑事ドラマです。
この第3話。このドラマがすごく気に入った展開がありました。
爆弾をぐるぐる巻きにされた人を発見し、解除を試みますが結局出来ず爆発しちゃうんです。普通、いつものドラマの展開なら3秒前とかにギリギリ解除で来て一件落着ですよね。
でもこのドラマはそうはならなかった。助けられないものは助けられない。むやみやたらと美化せず、人間の限界をちゃんと描いている。そこがいいなと思いました。
道端で倒れた人を発見しても、助けられないことも多い。それもまた現実。
人は心肺停止状態から1分経過する毎に10%生存率が下がると言われています。倒れた瞬間に出くわしてただちに救急車を呼んだとしても救急車が到着するまで平均8.6分。救急車が来るまで何もしなければ救急車が到着する頃には10~20%程度しか生存率は残っていないことになります。
それなら救急車が来るまでできることはやっておきたい!と思いませんか?
ということで、今日は私が傷病者発見!した日の思い出話をしながら、もしも道端で倒れている人を見付けたときの対応のポイントを少し書いていきたいと思います。
でも長すぎるので、今日は心臓マッサージ編です。明日はAED編を書きます。
本日のメニュー
ある雨の夜、傷病者発見
その日、主人が飲み会でいないからっていうんで思いっきり残業して溜めていた事務的な仕事を色々片付け、やっと最寄り駅にたどり着いたのが21時。とにかく疲れ果てていて家に帰ってからご飯を作るのが面倒で駅前のファストフードで夕食を済ませました。ちょうどそこへ主人が駅に着いたという事で、一緒に家路につきました。雨が降る中、歩いていたらそう広くない道の反対側に人だかりが。
主人が何かを発見して立ち止まりました。
「あれ、人が倒れてない?」
「え?」
暗くて雨で、視力が悪い私は目を凝らしてよく見ると確かに人が倒れている様子。その周りに人が数人いて体をゆすったりしていました。
人がいるし、きっとこの時間だし酔っ払いかなんかだろう。
超絶疲労感が半端なかった私は出来ればこのまま立ち去りたかった。正直、何見付けてんだよーって気持ちでしたが、見てしまったもんは仕方がありません。
どう見ても完全にうつ伏せで倒れており、あれでは呼吸が出来ません。
なぜ、こんな家に帰ってご飯を作る気力も残っていない日に限ってこういう場面に出くわすのだろう、そう思いつつも体はもう動き始めました。
倒れている人を発見したらまずやることとは?
道を渡り、人だかりに声をかけます。
「いやー、私たちも通りすがりなんですけど、自転車乗ってて急に倒れたみたいで。振り返ったら倒れてたんですよ。」
既に救急車は呼んだとのことでしたが、誰もそれ以上のことはせず、その人に触れることも恐る恐るといった感じです。そりゃそうですよね。
この時点でこの人が倒れてから何分が経っていたのかは不明でした。
顔が完全に道に突っ伏していて呼吸が出来る姿勢ではありません。人が倒れたらまずは呼吸できる体勢の確保が大切です。
とにかくこの姿勢のままではだめだと思い、男性たちに協力してもらい慎重に身体を返しました。
顔色はもう青黒く、一目見てこれはまずいやつだと確信しました。
出川さん風に言うと、リアルガチってやつ。
ここは道端。医療者は私だけ。アイテム何もなし。
心の中は不安でいっぱい。出来るのか?自分に出来るのか?
やるしかなーい!
まずは意識の確認。肩を叩きながら耳元で声をかけます。
「聞こえますか?大丈夫ですか?」
一切の反応がないという事で意識なしと判断。
意識の確認と同時に首の横、耳の下あたりに指を三本当てて脈の確認をします。頸動脈という太い動脈が通っているので心臓が動いていれば自分の指に脈拍を感じるはずです。
よくドラマでは手首で脈拍を確認していますが、手首の動脈より首の動脈のほうが心臓に近く、太いので心臓が動いているのか否かの判断が正確に出来るのは首です。
触ってみたらまだ体温を感じることが出来ましたが、脈拍は触知できず、脈拍なしと判断。でも、一般の人がやる場合は脈の確認はしなくてもいいです。
胸とお腹を見て動いているかを見てみます。呼吸をしていれば動くはず。規則正しく上下運動をしていればOK。多少の動きや時々動くだけではちゃんとした呼吸とは見なせません。迷ったら呼吸なしと判断して次に移るべきです。
この時は全く動きはなかったので呼吸なしと判断しました。
意識なし、脈拍なし、呼吸なし、文句なく心臓マッサージ開始の判定です。
職場では何度かそういう場面に当たった経験があります。でも、一人じゃないし医者がいるし酸素マスクだ、除細動器だってアイテムがいくらでもある。
たった一人で、しかも看護師と言う看板を背負って今から救命活動を開始する。
怖いったらありゃしない。誰か助けてー!
現場の司令塔を作って指示を出す!
さて、ここで重要なのが周りの人に協力を仰いで指示を出すこと。この場合、既に救急車は手配が済んでいるのであとはAEDの確保です。
倒れて1分以内にAEDをかけることが出来れば、蘇生率は格段に上がります。AEDの確保は非常に重要なんです。
指示を出すときに大切なことは誰に指示を出しているか明確にすることです。
この時、倒れた人がいた場所はコンビニの目の前。駅まで80メートルほどの場所でした。
駅に行けば確実にAEDはあります。でも近頃ではコンビニでもAEDを設置しているところもあります。
「コンビニにAEDあるか聞いてきてください」
と指示を出しつつ、心臓マッサージ開始です。
心臓マッサージはどうやるの?
胸の真ん中にある胸骨と言う骨の上に利き手を下にして利き手の甲の上から反対の手を乗せて指を組み、手のひらの腹の部分で垂直に押します。
傷病者の横に膝立ちして肩から腕が真っ直ぐ一直線になるイメージで傷病者の胸を押します。この時に重要なのが必ず押しっぱなしにせず完全に1回1回元に戻すことです。そうしないと心臓のポンプ機能をアシストすることになりません。
出典:https://www.city.hino.lg.jp/images/content/2557/oukyuteate-7a.jpg
1分間に100~120回のペースが必要となりますが、そんなの焦ってたらわかりゃしませんよね。少し早めに「もしもしカメよ、カメさんよー」って私は心の中で歌ってます。それが一番私の中では正確にリズムが刻めるのと、緊迫した雰囲気の中で心の中で童謡を歌うことで気持ちを落ち着けてます。
一昔前は心臓マッサージ30回で人工呼吸2回とかってなってたと思いますが、今のガイドラインでは一般人が救命処置を施す場合、人工呼吸はありません。マウスtoマウスって抵抗あるし、感染症のリスクもあります。それに不完全な人工呼吸で心臓マッサージが中断されるより絶え間ない心臓マッサージをした方が有効であるという考えになっているからです。
なのでAEDが到着するか、救急車が来るまでひたすら心臓マッサージを続けます。
心臓マッサージをしながら頭はフル回転でした。
あとは何をすればいい?何が出来るんだっけ?
そしてポキッと音がする。
あー、やっちゃった。肋骨を折りました。多分2~3本折りました。本当にスキルのある人がやるとそんなこともないのですが、私みたいに年に数回やるかどうかくらいだと正しい位置をちゃんと押せてなくて折っちゃうんです。でもそれにビビってたら助かる命も助からん!肋骨は折っても治るし!ごめんなさい!って心の中で思いながら続けました。
はい、今日はここまでです。
明日はこの続きを書いていきます。宜しければまた遊びに来てください!
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